<第15回富士宮やきそばアカデミー>を2016年11月25日(金)~27日(日)の日程で行いました。
このアカデミーは単に「富士宮やきそば」の焼き方だけでなく、富士宮市自体を知り、それを全国に広めてもらうことで富士宮市を訪れる人を増やし、また商標登録している「富士宮やきそば」のブランドを守る目的で2002年に始まり、年に1度開催しています。
今年も全国から多数の申し込みがあり、自分の店やイベントで「富士宮やきそば」をメニューに取り入れたいと考える飲食関係者など、26名が受講しました。
はじめに渡邉英彦富士宮やきそば学会会長の講義があり、「富士宮やきそば学会」の活動の歴史や、ネーミングを駆使したイベントの仕掛け、商標の重要性について学びました。「富士宮やきそば学会」は、おやじギャグの効いた巧妙な言葉で常に情報発信し、商標登録することによって行政に頼らない自前の活動資金を賄い、他業界ともコラボしながら「富士宮市」を売り込んできました。また、「B-1グランプリ」は単なるグルメイベントではなく、正式名称が「ご当地グルメでまちおこしの祭典!B-1グランプリ」であることからもわかるように、ご当地グルメを通して「まち」自体を売り込むイベントであり、「B-1」のBは「B級」ではなく「ブランド」のBであると強調しました。
郷土史研究家渡井正二先生からは「富士宮の文化と歴史」について講義がありました。信仰の対象としての「富士山」や、その麓のまち「富士宮」で「富士宮やきそば」が誕生し広まっていった歴史的背景などを学びました。また、市内にある富士山世界文化遺産の構成資産「富士山本宮浅間大社」の由緒や、登山と信仰を融合させた文化である「富士講」について勉強しました。
富士宮市役所「食のまち推進室」深澤利成氏からは、食によるまちづくり「フードバレーふじのみや」について講義がありました。標高差日本一の「富士宮市」は豊かな自然に恵まれ、多種多様な農畜産物が生育します。その「食」を活かしたまちおこし「フードバレー構想」は、6次産業化や都市間交流、食育、大学との連携など多方面に広がりを見せています。また、行政予算ゼロで活動してきた「富士宮やきそば学会」と市役所との関わり方や、「富士宮やきそば学会」が貢献してきた経済波及効果について学びました。
夜は市内のやきそば店に移動して焼き方の実習がありました。B-1グランプリでも活躍しているアンテナショップの焼き手による指導の下、グループに分かれて焼き方の実習を行いました。
2日目はバスで製麺会社の見学と市内観光を行いました。最初に「さのめん(旧木下製麺所)」の工場を見学し、麺の製造工程の説明を受けました。富士山世界文化遺産の構成資産の一つでもある「白糸の滝」では、200mに渡って富士山の湧水が噴出する荘厳な姿を目の当たりにしました。その後、やきそば店で焼き方の実習を兼ねた昼食をとり、お互いに作ったやきそばを食べ比べながら技術を習得していきました。午後の観光では、朝霧高原にある「富士ミルクランド」から雄大な富士山を眺めました。「静岡県水産技術研究所 富士養鱒場」では「富士宮市の魚 にじます」について学び、「田貫湖」では静寂な湖畔に佇む富士山を臨みました。
3日目はアンテナショップで焼き方の実習後、手順や出来栄え・味付けについて実技試験を行いました。続く筆記試験では、これまでの講義や市内観光・製麺会社の見学で学んだことが出題されました。
実技試験と筆記試験の総合評価の結果、無事に全員合格し、「麺許皆伝書」と記念のヘラが授与されました。
15年間にわたり開催してきた「富士宮やきそばアカデミー」は、一定の成果を挙げたことで今回をもって休止することになりました。これまでに「麺許皆伝書」を取得した人は400名以上にのぼり、全国各地で「富士宮やきそば」及び「富士宮市」のPR活動に励んでいます。