<第14回富士宮やきそばアカデミー>を2015年11月27日(金)~29日(日)の日程で行いました。
このアカデミーは単に「富士宮やきそば」の焼き方だけでなく、富士宮市自体を知り、それを全国に広めてもらうことで富士宮市を訪れる人を増やし、また商標登録している「富士宮やきそば」のブランドを守る目的で2002年に始まり、年に1度開催しています。
今年も全国から多数の申し込みがあり、自分の店やイベントで「富士宮やきそば」をメニューに取り入れたいと考える飲食関係者など、22名が受講しました。
はじめに渡邉英彦富士宮やきそば学会会長の講義があり、「富士宮やきそば学会」の活動の歴史や、ネーミングを駆使したイベントの仕掛け、商標の重要性について学びました。会長は「初めに言葉ありき!」を信念とし、「言葉の力」について力説しました。「富士宮やきそば学会」は、おやじギャグの効いた巧妙な言葉で常に情報発信し、商標取得によって行政に頼らない自前の活動資金を賄い、他業界ともコラボしながら「富士宮市」を売り込んできました。おやじギャグを滑らせないためには、必ず事業化または商品化することが大事で、「言葉を事(こと)にする!」のだと教示しました。また、「B-1グランプリ」は単なるグルメイベントではなく、正式名称が「ご当地グルメでまちおこしの祭典!B-1グランプリ」であることからもわかるように、ご当地グルメでまちおこしをしている団体の活動披露の場であり、「B-1」のBは「B級」ではなく「ブランド」のBであると強調しました。
郷土史研究家渡井正二先生からは「富士宮の文化と歴史」について講義がありました。「食文化は歴史と風土から成り立つ」という考えの下、「富士宮やきそば」が誕生し広まっていった歴史的背景などを学びました。また、市内にある富士山世界文化遺産の構成資産「富士山本宮浅間大社」の由緒や、登山と信仰を融合させた文化である「富士講」について勉強しました。
富士宮市役所「食のまち推進室」深澤利成氏の講義では、富士宮市の沿革及びその構成要素についてデータを用いて説明がありました。標高差日本一の富士宮市は豊かな自然に恵まれ、多種多様な農畜産物が生育します。その「食」を活かしたまちおこし「フードバレー構想」は、6次産業化や都市間交流、食育、大学との連携など様々な方面に広がりを見せています。また、行政予算ゼロで活動してきた「富士宮やきそば学会」と市役所との関わり方や、「富士宮やきそば学会」が貢献してきた経済波及効果について学びました。
夜は市内のやきそば店に移動して焼き方の実習がありました。B-1グランプリでも活躍しているアンテナショップの焼き手による指導の下、グループに分かれて焼き方の実習を行いました。
2日目はバスで製麺会社の見学と市内観光を行いました。最初に木下製麺所の工場を見学し、麺の製造工程の説明を受けました。世界遺産に登録されたことで見学場所が整備された「白糸の滝」の観光後、やきそば店で焼き方の実習を兼ねた昼食をとり、お互いに作ったやきそばを食べ比べながら技術を高め合いました。「静岡県水産技術研究所 富士養鱒場」では「富士宮市の魚 にじます」について学びました。「田貫湖」の観光後に訪れた「富士ミルクランド」では、富士山を背景に会長が命名した「みるく菩薩」の撮影をしました。
3日目はアンテナショップで焼き方の実習後、手順や出来栄え・味付けについて実技試験を行いました。続く筆記試験では、これまでの講義や市内観光・製麺会社の見学で学んだことが出題されました。
実技試験と筆記試験の総合評価の結果、今回は無事に全員合格し、「麺許皆伝書」と記念のヘラが授与されました。